三十両

三十両ぶんの価値ある文章を目指すブログ。
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「おくりびと」の成功に寄せて
おくりびと、話題になってますね。エンタメに携わることを志す者の一人として、この功績を素直に喜んでます。でも、よく考えてみると、この一大ニュースの裏にある日本人の変化という現象が透かして見えるような気がします。

日本アカデミー賞、ブルーリボン賞など、日本には大きな映画賞がいくつもあります。二十年くらい前、僕の親の世代の日本人はその賞の一挙手一投足に注目していて、その出来いかんが興行収入にも大きく関わっていた、と思います。でも、最近じゃあ日本の作品は海外で評価されないと、話題にもなりませんよね。

日本のビジネスがグローバル化を志向するようになって十数年、エンタメという業界での現象だけを切り取っても、その時代に生きる僕たちの目はどんどん世界に向けられていっているような気がします。今のように日本のマンガやアニメが日本人の間で見直されたのは、山本浩二の『頭山』から始まる海外での評価が逆輸入されてきた結果ですし、ラストサムライが興行的に成功したのはひとえに渡辺謙が重要な役としてハリウッドで起用されたという話題性によると思っています。

そう考えてみると、不思議と僕の関わる小説の世界は、ほとんど全くと言っていい程グルーバル化されておらず、相変わらず国内に閉じこもってますね。台湾や韓国を除いて、世界的に有名な現代日本作家といえば、村上春樹さんくらいのものじゃないでしょうか?

縮小する出版業界を打開する鍵をグローバル化に求めることは、きっと業界の中のほとんどの人が意識していると思うんです。でも、それが出来ないという事は、出来ないなりの理由があるんでしょうね。
おくりびとの成功(興行的にはまだ結果が出ませんが)が、出版業界に再生の種を蒔くような事件になってくれればいいと思っています。
釣り人とバス停、長髪のやせ男
去年の夏に2ちゃんねるの文芸創作板の「よくわからんお題で次の人がSSを書くスレ」で発表した作品です。思い出したように読み直したら、割とうまく書けてたから、このまま膨大なログの中に埋もれさすのはもったいないなと思ったので、自分のブログに再掲することにしました。
自分が書いた作品っていうのが証明出来ないのがもどかしいところだけど、まぁ、たいした問題にもならないと思うので。
このスレは気に入っていて、他にもいくつか投稿した作品があるけど、あまり自己評価がよくないので、そっちはゴートゥーヘルしてもらうことにしますw

では、以下転載です。



よくわからんお題で次の人がSSを書くスレ2
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1213581632/





38 名前: 釣り人とバス停 1/2  Mail: sage 投稿日: 2008/09/18(木) 17:49:59
ええ、ちょっくらくだらん話に付き合ってもらおうかと思っとるわけですがね。
とある所に、とてつもなく大きなお寺があった。そりゃあ立派なもんだ。なんせ、天下に名だたる浄土宗でも五本指に入ろうかという代物だ。
毎日わんさと観光客がやってくる。金は天下の回り物たぁよく言いますが、集まる所には集まるもんだ。こりゃあ笑いが止まらねぇってんで、ついに寺の真ん前にバス停まで立てちまう始末でさぁ。
ところが、ある日そのバス停の前に奇妙な男が現れた。
キャップにサングラスにライフジャケット、手には釣竿。釣り針をアスファルトの道路の上に寝そべらせてやがる。世に釣り人は多かれど、こんなキテレツなツリキチはついぞ見たことがない。
見かねた住職が寺から飛び出した。
「ちょっとあんた、一体何やってるんだ。ここは由緒ある寺の前だぞ。何のつもりか知らんが、他の客の迷惑だから、さっさとその釣竿をしまいなさい」
「いやぁ、ちと知り合いから、いいネタが入りましてね。穴場があるってんで、こうやって汗水たらしながら、糸を垂らしてるってわけでさぁ」

39 名前: 釣り人とバス停 2/2  Mail: sage 投稿日: 2008/09/18(木) 17:54:58
男の言うことはさっぱり要領を得ない。住職が更に問い詰めると、男はこんなことを言い出しやがった。
「いやぁ、でも、ここ、釣れるんでしょ?」「何が?」
「いや、何って。バスが」
・・住職は絶句するしかない。なんせ、乗り物のバスとブラックバスを勘違いするおおうつけだ。
それはともかく、釣り針が他の客に引っ掛かりでもしたら大変だってんで、住職が男を取り押えようとした。
その時!道のはじっこの方からバスがやってくるじゃありませんか!
「お、来た来た!」
男が、えいやっとばかりに大きく釣竿を振りかぶる!住職は慌てて、その体につかみかかる!
・・当然二人はもみくちゃになりまさぁな。もうてんやわんやだってんで、周りにいた観光客達も、なんだなんだと二人を取り囲みだした。
そうこうするうちに、その群衆の横をバスはすーっと走っていっちまいました。
ため息をつきながら男がキリキリとリールを巻いていくと、なんと住職がすすっと浮き上がっていくじゃないですか。よくよく見ると、釣り針は住職の袈裟に引っ掛かっている。
住職はそのツルツルの頭まで真っ赤になって「下ろせ!下ろせ!」と怒鳴っております。期待の外れた男は、肩を落としてこう呟いた。

「ちっ、今日もボウズか」

どうも、お後がよろしいようで。






53 名前: 長髪のやせ男 1/2  Mail: sage 投稿日: 2008/09/21(日) 16:12:17
私は惑星間をまたいで活動する、フリーの文明崩壊請負人だ。
今日は、私が若い頃に取り組んだ仕事の内容を紹介するとしよう。

フェミーナと呼ばれるその惑星の種族は、いわゆるヒューマン型の体躯をしていた。
唯一違ったことは、女権社会であったということだ。
女性は男性に比して強靭な肉体と、豊富な知識、そして権力を有していた。
男性は愛玩用、もしくは生殖用としてのみ機能したため、その価値はその容姿によってのみ計られていた。
特に好まれたのは、長髪のよく似合う痩せた男である。
これは、そういったタイプの男性ほど精力が旺盛であり、筋肉が引き締まっているため使い手があることが多かったからである。

いくら文明的に私がはるかに進んでいるとはいえ、何億人もの生命を一人で刈り取るのは効率が悪い。
よって、私がこの星で行った作業は次の一点のみである。
男性間にのみ、「短髪のでぶ男は優れている」という認識を植え込んだのだ。
これには、遺伝子構成認識装置、および1000tjものハイパワーアンプが役に立った。
この装置で自動的に男性を識別し、それらの男性のみが受信できるように設定したデジタルワームで思考を改ざんしたのだ。
三日間の電撃作戦の後、私の計画通り、男性は女性の管理下に収まらないようになっていった。
女性がどれだけ圧力をかけても、私に操作された欲望に従って、男性は際限なく太り、そして禿げていった。
女性と男性の間の交流は断絶し、女性は種付けの道具を失った。

54 名前: 長髪の痩せ男 2/2  Mail: sage 投稿日: 2008/09/21(日) 16:18:11
二十年後、フェミーナの人口は十分の一にまで激減したことを確認したのち、依頼の完遂を宣言した。
女性たちはもれなく、依頼者の奴隷となるだろう。
今まで散々虐げてきた男性から愛玩動物として扱われるのだから、その屈辱は並大抵のものではないだろう。
気の毒だが、これも宿命とうけいれてもらうしかない。

さて、先日、私に次の依頼が舞い込んだ。
儲かるのはいいことだが、いかんせん、忙しすぎる。
しかも次の惑星は、アースという、50億人規模の惑星だ。
手を抜きたかった私は今回も、フェミーナのケースを応用することにした。
そうだな、今回は二次元への執着心を喚起することにしようか。
性欲を非現実な領域に求めるようになれば、生殖の手段は断たれ、人口は減少していくだろう。
しかもアースの人間は、そういった病的な偏執を抱く者を『オタク』と呼んで忌み嫌うらしい。
ますます好都合だ。

後日記:
植え付けは成功した。
あとは二十年後の結果を待つだけだ。


書評:高杉良『反乱する管理職』
小説を読むのは一ヶ月ぶりでした。
ここ最近はビジネス関連の本を読む事が多くて、小説は積ん読になってました。
で、高杉良は金融腐食列島で有名なとおり、政治経済をテーマにしたノンフィクション調の小説を書く作家さんなので、ビジネスからの延長で食指が動いたわけです。
高杉さんの小説ではこれまでに青年社長と金融腐食列島と読んでます。
それでは、以下たんたんとレビュー。




タイトル:
『反乱する管理職』

hanransurukanrisyoku










あらすじ:
老害と化したワンマン経営者によって経営危機に陥ってしまった生命保険会社の東都生命と、それを乗っ取ろうとする外資の間で巻き起こる混乱の中で、一人の中堅クラスの男性社員(といっても将来は幹事確実と目される実力者)の活躍を描く。キーワードは、「生保業界の凋落」、「外資の台頭」、「日本流内部統制の問題点」、「中堅社員の頑張り」

気になった点:
・映画の脚本かと思うほど会話文ばかりで話が構成されている
・テーマとの関連が薄く、伏線でもなく、蛇足なサブストーリー(大人の恋愛模様など)が話の半分くらいを占める
・作者の意見が小説という体を無視して、割と露骨に書かれている(自らの著作である『青年社長』を何の脈絡もなく登場人物に賞賛させる、など)

良かった点:
・企業の破綻~管財人の選定~破産処理という一連の流れと、そのときの現場の模様が細かに伝えられている
・二十年前の社会人の空気感が理解出来る。またその際、「昔は良かった」論に安易に傾いていない点もゆとりっ子の自分としてはポイントが高い

評価:
★★☆☆☆

ってとこですかね。
一つの小説としては、読んで損はないけど人には薦めないレベルです。
ただ、扱っているトピックス自体に興味がわく人なら、もっと評価が高くなると思います。
ダメニーズ開拓について
ちょっと情報は古いんですが、先日発売された文房具に『クルトガ』というのがあります。三菱鉛筆から出ている自動的に芯先が回転して常に一定の尖り方になるシャーペンです。これのすごいところは、それ以前に全くなかったニーズを作り出したということです。それまで誰も、芯の尖り方が一方に偏っていても、特に気にせずに文字を書いてました。握りなおすときに自分でシャーペンを回して書けばいいから、ほとんど労力もかからないし、ストレスは感じてなかったし。ところが、三菱鉛筆はこの商品を登場させることによって、それまで全く意識に上らなかった、シャーペンの芯が偏っているのって何か嫌だなぁ、という問題を作り上げることに成功したわけです。
自分で問題を作り出してその解決方法を提示する、という一連のマッチポンプをビジネスの場において行う場合、一般的に「ニーズの開拓」と呼ぶそうです。
もっと古い例では、鉛筆のおしりに消しゴムをつけたのもそういうことなんだろうと思われます。
このニーズの開拓が上手い具合に転がるとプロジェクトXとかカンブリア宮殿に出るような成功譚になるんですが、世の中見渡すと、それがマイナスに転がっていることもしばしばあるな、と思ったりします。

それが、ダメ「ニーズ開拓」ですよ!(かってに改蔵風味)

いやぁ、これを思いついたのは近所のドラッグストアのレジ接客をみたときなんですけどね、店員の人がおつりを渡すときに言うんですわ。
「まずこちら、大きいほうから四千円になります。おつぎ、小さいほうのお返しです」
みたいな、ことをね。
いつからの習慣かわからないけど、多分僕が生まれる前からこんな言い方してたんでしょうね。だから、ある時点まではこんなこと言われても、全く気にならなかったんです。本当に全く。僕はコンビニのバイトを一年間くらいした経験がありまして、そのときのマナー講習で教わったんですが、この言い回しは本来やっちゃいけないもの、というか存在しなかったものらしいんですよね。口うるさいお客さんは、こういうことにクレームをつけるんですわ。
「大きいほう、小さいほうって何だよ、トイレの話かよ」
「になりますって、じゃあ、それ以前はなんだったんだ、四千円じゃなかったのかよ」
みたいな、ね。
リベラルでヒッピーでフリーダムな学生の立ち位置としては、「そんなのほとんど揚げ足取りじゃねぇか、くだらねぇぜ(笑)」、という立場に寄り添いたいものです。寄り添いたいものですが、なーんか、そのバイトを経験して以来、そういう接客がダメになっちゃったんですよね。いや、最初にそういう指導をうけたときは、軽い反発を感じたんですが、その問題意識の種が時間とともに成長して、ダメになっちゃったんです。
そして、重要なのは、その問題意識によって良い事があったかというとそうでもなく、自分自身で社会生活の許容範囲を狭めたことによって、逆にストレスを感じることが多くなってしまったということです。
要するに、これがダメニーズ開拓の一例です。

見渡せば、世界中でダメニーズが開拓されていることに気づきます。
例えば、日本における同和教育なんて顕著な例ですね。僕は、特にそれが激しかったといわれる三重県出身なんですけど、部落差別なるものを見たことも聞いたこともなかったんですよ。というか、23年間も生きてきて、いまだに一度もその現場に接触したことがない。何も問題が起きていないのだから、そのまますごせば、一生部落差別を意識することなく、わけ隔てなく生きていけそうなものなんですが、高校生のときにそのテーマの映画を見せられて以来、『えた・ひにん』という概念について、タブー意識を持ってしまったんですよね。
この教えてgooのページがわかりやすいです。
「部落差別」教育って必要?
議論が必要な話ですが、もうすでにほとんど根絶している(と経験上思われる)のだから、それを意識しなければ差別は元から消えるんではないかと個人的には思ったりします。必要以上の差別教育はダメニーズを開拓してしまう危険性をはらんでいます。

その他、
・なぜ、人は健康を度外視したダイエットに走ってしまうことがあるのか?
・なぜ、恋愛至上主義下でむしろ出生率が低下するのか?
・なぜ、派遣事業が否定されてしまうのか?

などの諸問題にダメニーズの開拓が関わっているように思われます。

このままいくと最終的には、「じゃあ、全ての人間がインテリジェンス(笑)を失って馬鹿になればいいんじゃないか」なんて極論になってしまいそうなので自重しますが、世の中をより快適にしよう、新規ニーズを開拓しよう、という動きによって逆説的にダメニーズが開拓されてしまうことは、十分にありえるということは間違いないと思います。

このダメニーズ開拓の記事自体が、ダメニーズを開拓してしまうという入れ子構造もまた、否定できません(笑)
【第8回文学フリマ】申し込み完了
5月に開催される第8回文学フリマへの応募申し込みをしました~。
文学フリマは割と知名度が高い(と思う)ので、応募を申し込んでも、必ず出展できるとは限らないんですよね。抽選で外れたら出展できないので、そうならないように祈ってます。

さて、応募もすんだことだし、早いとこ肝心のネタを仕込まんとね。


文学フリマ






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