三十両

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ダメニーズ開拓について
ちょっと情報は古いんですが、先日発売された文房具に『クルトガ』というのがあります。三菱鉛筆から出ている自動的に芯先が回転して常に一定の尖り方になるシャーペンです。これのすごいところは、それ以前に全くなかったニーズを作り出したということです。それまで誰も、芯の尖り方が一方に偏っていても、特に気にせずに文字を書いてました。握りなおすときに自分でシャーペンを回して書けばいいから、ほとんど労力もかからないし、ストレスは感じてなかったし。ところが、三菱鉛筆はこの商品を登場させることによって、それまで全く意識に上らなかった、シャーペンの芯が偏っているのって何か嫌だなぁ、という問題を作り上げることに成功したわけです。
自分で問題を作り出してその解決方法を提示する、という一連のマッチポンプをビジネスの場において行う場合、一般的に「ニーズの開拓」と呼ぶそうです。
もっと古い例では、鉛筆のおしりに消しゴムをつけたのもそういうことなんだろうと思われます。
このニーズの開拓が上手い具合に転がるとプロジェクトXとかカンブリア宮殿に出るような成功譚になるんですが、世の中見渡すと、それがマイナスに転がっていることもしばしばあるな、と思ったりします。

それが、ダメ「ニーズ開拓」ですよ!(かってに改蔵風味)

いやぁ、これを思いついたのは近所のドラッグストアのレジ接客をみたときなんですけどね、店員の人がおつりを渡すときに言うんですわ。
「まずこちら、大きいほうから四千円になります。おつぎ、小さいほうのお返しです」
みたいな、ことをね。
いつからの習慣かわからないけど、多分僕が生まれる前からこんな言い方してたんでしょうね。だから、ある時点まではこんなこと言われても、全く気にならなかったんです。本当に全く。僕はコンビニのバイトを一年間くらいした経験がありまして、そのときのマナー講習で教わったんですが、この言い回しは本来やっちゃいけないもの、というか存在しなかったものらしいんですよね。口うるさいお客さんは、こういうことにクレームをつけるんですわ。
「大きいほう、小さいほうって何だよ、トイレの話かよ」
「になりますって、じゃあ、それ以前はなんだったんだ、四千円じゃなかったのかよ」
みたいな、ね。
リベラルでヒッピーでフリーダムな学生の立ち位置としては、「そんなのほとんど揚げ足取りじゃねぇか、くだらねぇぜ(笑)」、という立場に寄り添いたいものです。寄り添いたいものですが、なーんか、そのバイトを経験して以来、そういう接客がダメになっちゃったんですよね。いや、最初にそういう指導をうけたときは、軽い反発を感じたんですが、その問題意識の種が時間とともに成長して、ダメになっちゃったんです。
そして、重要なのは、その問題意識によって良い事があったかというとそうでもなく、自分自身で社会生活の許容範囲を狭めたことによって、逆にストレスを感じることが多くなってしまったということです。
要するに、これがダメニーズ開拓の一例です。

見渡せば、世界中でダメニーズが開拓されていることに気づきます。
例えば、日本における同和教育なんて顕著な例ですね。僕は、特にそれが激しかったといわれる三重県出身なんですけど、部落差別なるものを見たことも聞いたこともなかったんですよ。というか、23年間も生きてきて、いまだに一度もその現場に接触したことがない。何も問題が起きていないのだから、そのまますごせば、一生部落差別を意識することなく、わけ隔てなく生きていけそうなものなんですが、高校生のときにそのテーマの映画を見せられて以来、『えた・ひにん』という概念について、タブー意識を持ってしまったんですよね。
この教えてgooのページがわかりやすいです。
「部落差別」教育って必要?
議論が必要な話ですが、もうすでにほとんど根絶している(と経験上思われる)のだから、それを意識しなければ差別は元から消えるんではないかと個人的には思ったりします。必要以上の差別教育はダメニーズを開拓してしまう危険性をはらんでいます。

その他、
・なぜ、人は健康を度外視したダイエットに走ってしまうことがあるのか?
・なぜ、恋愛至上主義下でむしろ出生率が低下するのか?
・なぜ、派遣事業が否定されてしまうのか?

などの諸問題にダメニーズの開拓が関わっているように思われます。

このままいくと最終的には、「じゃあ、全ての人間がインテリジェンス(笑)を失って馬鹿になればいいんじゃないか」なんて極論になってしまいそうなので自重しますが、世の中をより快適にしよう、新規ニーズを開拓しよう、という動きによって逆説的にダメニーズが開拓されてしまうことは、十分にありえるということは間違いないと思います。

このダメニーズ開拓の記事自体が、ダメニーズを開拓してしまうという入れ子構造もまた、否定できません(笑)
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